秋らしく涼しい日が続いています。秋と言えば七草。春の七草と違って、花を見る事を楽しむのが秋の七草です。
奈良の時代。万葉集で選ばれた七つの草花。山上憶良(やまのうえのおくら)が、
『秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花』
と詠んだ事がその起源です。
写真の花は、「藤袴(ふじばかま)」です。夏から初秋にかけて咲く花ともいわれていますが、東京では10月から咲き始める事が多いそうです。
小さなピンク色の花がたくさん咲きます。花色が藤(ふじ)色。花弁の形が袴(はかま)。花形がその名前の由来です。古くから日本人に愛された花ですが、中国から渡来した外来種。もともと強い花で、野生化したそうです。
香りは桜餅のような甘い香り。平安時代になると、干した茎や葉っぱを水につけて、大和撫子たちが髪を洗ったとも言われています。お茶に使われたり、芳香剤にも使われた女性に縁のある花。防虫剤にもなるそうです。
花言葉は、「ためらい」「遅延」「躊躇」「あの日を思い出す」「優しい思い出」と秋空に恋に悩む女心のようですね。
------------------------------------キク科 ヒヨドリバナ属 藤袴(ふじばかま)。中国、朝鮮半島、日本に分布する多年草。水辺を好んで自生。奈良時代に中国から渡来し野生化した秋の七草の一つ。郷愁を誘う花姿が日本人に愛され、様々な古典文学にも登場したと語り継がれる。葉は3つに深く切れ込んでおり、生乾き状態のものは独特の甘い芳香を放つ。