6月も、もう終わりです。暑い夏がすぐ目の前。
6月に姿を見せる、赤い実で親しまれている花をご紹介しますね。写真は「柘榴(ざくろ)」です。
ざくろは日本ではなじみ深い樹木で、昔から庭によく植えられていました。幹にはこぶ状の突起ができるため、決して美しくはありませんが、そのでこぼこが風格を感じさせます。幹がねじれやすく、そのため盆栽にもよく利用されるほど、風情のある花です。意図的に人の手でかっこよくねじらせることで、風格や威厳がでてきます。
ざくろには花ざくろと実ざくろがありますが、食用として利用されるのが実ざくろで、花ざくろは花びらが多く観賞用として親しまれています。花は朱色の大きなもので、非常に見栄えがします。
ざくろは世界中で栽培されているように、比較的場所を選ばず、容易に育てることができるもの。注意する点としては、日当たりと風通しのよさです。虫には強い方ですが、日当たりが悪く、湿気の多いところで育てると、虫がつきやすくなります。
剪定は、他の樹木と同じ感覚ですると、花つきが悪くなるので注意が必要。できるだけ放任して、剪定は必要最上限にとどめるのがよいでしょう。剪定を行うと花芽を切り取ったり、花芽のつく枝が伸びにくくなるためです。枝が伸びすぎたり、込み入ってくると風通しもよくありませんので、必要最低限の剪定はしてあげてください。
ざくろの花言葉には「円熟した優美」「子孫の守護」などがあります。ざくろはたくさんの実をつけることから子宝に恵まれる樹木として好まれる地域もあります。
ザクロの学名はプーニカ・グラナツム、プーニカは「フェニキア人の」の意で、フェニキア人の国カルタゴが原産地とされていたことによります。グラナツムは「たくさんのタネを持つ」と言う意味で、果実に由来します。漢字で「石榴」と書くのは、中国での俗名がそのまま日本に入ってきたもの。「石」は「安石」の略でアルサケス朝という王国(現在のイランのあたり)を指し、「榴」は「こぶ」の意です。まとめると「アルサケスに産する果実にこぶがある植物」と言う意味になります。
「紅一点」は中国の王安石が詠んだ「万緑叢中紅一点(辺り一面の緑の中、赤い花-ザクロ-が一輪咲いている)」と言う句に由来するそうです。この句は小さいながらも鮮やかでよく目立つザクロの花を簡潔に表した非常にわかりやすい言葉だと思います。
その他、洋の東西を問わず神話や伝承に多く登場し迷信も多く知られます。それだけ人との関わりが古くそして深い植物といえるでしょう。花としても果実としても親しみやすく楽しめる、ざくろを一度試してみてはいかがでしょうか?
-------------------------------------------------------------ザクロ科 PUNICA GRANATUM。原産地は小アジア、アフガニスタン、ヒマラヤなど。樹の高さは5M~7Mほどに成長する。主に6月-7月頃に花が咲き、9月下旬-10月頃に果実が収穫される。