さて、今回は「真鍮で『表札』をつくる」シリーズの最終回です。前回までの加工方法や仕上げ手順のご紹介で、真鍮板をベースにした表札は完成しましたね。厚みのある真鍮板から必要な表札文字の切り出し、削り出し、丸みをつける加工方法と手順が中心のシリーズでしたので、最後に、ベース板との組み合わせによるイメージの違いをご紹介します。
イラストのように、質感とカラーの異なる金属、銅板をベースにすると、磨き上げられた真鍮の白さに対して、柔らかな温かみのある銅板の赤が、コントラストをつくって味わいのある仕上がりになります。メタル感が強い真鍮と自然な素材感のある木のベースとの組み合わせは、反射しない木に対して、真鍮の高輝度が高く感じられ、文字の存在感が強くなりますよ。アレンジカットとここでは呼んでいますが、同じ素材の真鍮板をちょっと動きやテーマを感じられる形に切り出し、磨きの度合いを荒めにしたベースをつくります。ベースの形次第で、特定のイメージを演出できますよ。ラインパーツは、スチールでもアルミでもOK。真鍮の錐文字をちょっと浮き上がらせて見せるベースです。あえて細いライン状のパーツにすることで、文字の立体感と存在感を同時に見せるベースです。
それぞれ、銅板でアレンジカットやラインベースをつくるのもいいですし、もちろん、木でつくっても切り文字だけでは表現できないイメージ演出になります。