さて、前回切り出した真鍮板(しんちゅうばん)を加工しやすいように「なまし」の作業を行います。「なまし」は、金属に火を通し、熱を加えることで、切削しやすい硬さにする作業のことです。
「銅板で『表札』をつくる」でも、ご紹介しましたが、銅と真鍮では、「なまし」の方法が異なります。銅は純粋な1種類の金属ですので、熱した後、すぐにお水で冷やしても、金属の硬さが柔らかくなりました。真鍮は銅と亜鉛を混ぜ合わせてつくられた合金のため、熱してすぐにお水で冷やすと、より硬さが増してしまいます。そのため、真鍮のような合金の「なまし」は、熱したら放置し、自然に金属の温度が下がるのを待ちます。
イラストのように、まんべんなくガストーチで真鍮板を熱したら、別のフライパンにトングなどで移動し、放置しましょう。熱するときに使用したフライパンは、トーチの熱で温度が上がっているため、真鍮板の温度が下がりにくくなるため、別のフライパンに移します。
自然に温度が下がるのを見計らって、切り抜いた文字の型紙にのりをつけて、真鍮板に並べて貼り付けてください。イラストのように、文字同士の間に間隔をあけて、できるだけ、高さと位置を中央に揃えて、整列させてくださいね。ここまでの作業が完了したら、真鍮板を切削する鍛金の準備は完了です。
次回は、ドリルによる穴あけ手順をご紹介します。お楽しみに!